令和6年度 児童発達支援 放課後等デイサービス 報酬改定 サムネイル

令和6年度 児童発達支援 放課後等デイサービス 報酬改定

ここだけは理解しておくべき‼️ポイント4選

児童発達支援・放課後等デイサービス事業所の皆様、令和6年度の報酬改定の、準備はできていますか?
今回の改定は、単なる報酬体系の変更ではなく、「質の高いサービスの提供」「利用者一人ひとりに寄り添った支援」 の実現に向けた、大きな転換点となるものです。
事業所にとって、新たな負担や課題も生じる可能性がありますが、同時に、利用者にとってより良いサービスを提供できる機会でもあります。
本コラムでは、令和6年度報酬改定のポイントを分かりやすく解説し、事業所の皆様の円滑な移行と、質の高いサービス提供に向けた取り組みを支援することを目的としていますので、ぜひ内容を一緒に確認していきましょう。

基本報酬の時間区分の導入

区分
時間
区分1
30分以上1時間30分以下
区分2
1時間30超3時間以下
区分3
3時間超5時間以下
時間区分を導入する際に、個別支援計画における日々の支援に必要な時間を予め計画し、その計画時間に基づいて基本報酬を算出することになりました。
しかし、実際の支援時間と計画時間に差異が生じた場合、支援時間が短縮された場合について、以下の注意点があります。
利用者の都合による短縮の場合は、計画された時間で報酬が算定されます。
事業所の都合による短縮の場合は、実際の利用時間で報酬が算定されます。
要するに、支援時間が予定よりも短くなった場合、利用者の都合による場合は予定時間で報酬が算定され、事業所の都合による場合は実際の利用時間で報酬が算定されます。
30分未満の極めて短時間の支援については基本的には算定不可となります。(理由があり、市町村が認める場合は算定可能になります)
そして、放課後等デイサービスの場合、時間区分3「3時間超5時間以下」は学校休業日のみ算定可能となります。実際の利用時間については、サービス提供実績記録表に記載が必要になります。

延長支援加算

時間
障害児
重症心身障害•医療的ケア児
延長30分以上1時間未満
61単位/日
128単位/日
延長1時間以上2時間未満
92単位/日
192単位/日
延長2時間以上
123単位/日
256単位/日
基本報酬の上限を超える場合や、支援の前後に追加の支援が必要な場合は、計画した時間に応じて延長支援加算が算定できます。ただし、実際の利用時間が計画よりも短くなった場合は、実際の利用時間での算定になります。
支援の前後に延長支援加算を提供する場合は、前後どちらも1時間以上となるように計画する必要があります。(前後の延長支援時間を合算して1時間とすることはできません)30分以上1時間未満の追加時間に関しては、利用者の都合で短縮された場合にのみ報酬が算定されます。つまり、計画段階で1時間に満たない場合は、延長支援加算の計画は立てられませんので注意が必要です。
延長支援加算に関しては、通常は個別支援計画に含める必要があります。ただし、緊急な預かりニーズに対応するための支援については、急遽必要となった理由を記録として残すことで、算定できます。ただし、同様の状況が続く場合は、個別支援計画を見直して変更する必要があります。

総合的な支援とインクルージョン

5領域の記載と種類

適切なアセスメントの実施と特性を踏まえた支援を確保するため、5領域の視点をすべて含んだ総合的な支援が求められています。
そこで、個別支援計画に5領域との関連性を明確にした支援内容を記載することが必要になりました。
5領域
  1. 「健康・生活」:食事、排泄、生活習慣、睡眠など(生活のリズム、排泄習慣、偏食改善)
  2. 「運動・感覚」:運動能力、感覚機能、身体協調性など(リトミック、粘土遊び、水遊び、散歩)
  3. 「認知・行動」:認知機能、学習能力、行動問題など (ブロック遊び、小集団でのゲーム、時間や数の理解)
  4. 「言語・コミュニケーション」:語彙力、自己表現、言語能力など( 絵本、紙芝居、しりとり、自己紹介、SST)
  5. 「人間関係・社会性」:対人関係、集団活動、社会参加など (買い物学習、SST、ごっこ遊び、役割付与)
事業所では色々な活動があるので、どの活動がどの領域に関連しているのか把握しましょう。おそらく、普段から総合的な支援はできているが、個別支援計画には全て盛り込まれてはいないという所が多いのではないかと思いますので、ぜひこの機会に今までとは違った視点で計画を見直してみるのもいいですね。

インクルージョンの推進

インクルージョンとは、障害者だからといって分離されることなく、学ぶ機会や働く機会を平等に得られる環境を目指す考え方になります。
ここでのインクルージョンは、児童発達支援や放デイにおいて保育所や学童等との並行利用や移行等インクルージョン推進の取り組みを求めることとしたことであり、個別支援計画において具体的な取り組みについて記載し実施する必要があります。
例えば、児童発達支援に通っている子が週に少しでも多く幼稚園に通えるようになるためには、どういった支援が必要かを考えます。トイレに1人で行けるようになる、集団行動ができるようになる、全体指示が理解できるようになる、幼稚園の先生と連携をとるなど色々なことが出てくると思いますので、それを計画に盛り込んでいきましょう。

令和6年4月以降の個別支援計画について

 新しく記載が必要な項目
時間区分に伴う計画時間
延長支援加算に伴う延長支援時間
5領域との関連性を明確にした支援内容
インクルージョンの観点を踏まえた取り組み
個別支援計画の見直し等については、令和6年10月31日までの間は、別紙「個別支援計画参考様式」の2枚目の「個別支援計画別表」を活用し、個々の障害児の計画時間及び延長支援に要する時間等を定め、現行の個別支援計画とあわせることにより対応すること(支援内容の5領域との関連性の明確化及びインクルージョンの観点からの記載は個別支援計画の見直しのタイミングで行うこととし、基本報酬と延長支援加算の算定に必要な計画時間・延長支援時間等の記載のみを別表で追加すること)を可能としています。
計画時間についてはあらかじめ保護者に説明の上、同意を得る必要があります。
また、延長支援についても、あらかじめ保護者に説明の上、必要性について確認するとともに、延長支援時間について同意を得ることが必要になります。
この経過措置の対象となる障害児は、令和6年4月30日までに当該事業所の利用を開始している児童となります。
令和6年4月以降の個別支援計画書については、今回の法改正を盛り込んだ「個別支援計画様式(参考)」を参考に作成する必要があります。(様式についてはこちらをご確認ください こども家庭庁 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について
また、作成した個別支援計画を相談支援事業所へ交付することが義務付けられていますので、そこも必ず忘れないようにしましょう。

まとめ

令和6年度報酬改定は、児童発達支援・放課後等デイサービス事業にとって、大きな挑戦となります。
そこで、本コラムで紹介した
基本報酬の時間区分の導入
延長支援加算
5領域の記載と種類
インクルージョンの推進
令和6年4月以降の個別支援計画について
を参考に進めていきましょう。
サービス提供において、内容理解は利用者満足度向上、信頼関係構築、トラブル防止、職員のモチベーション向上など、様々なメリットをもたらします。
事業所側が内容をしっかりと理解し、利用者に正確かつ明確な情報を伝えることが、質の高いサービス提供の基盤となりますので、是非しっかりと理解しておきましょう。

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